PPPPP 1話 きっかけの嘘
「まだ寝てるのかよ…。」
そうっと入って起こしに来た彼があの家政夫である。
赤いエプロンが眠気に負けそうな私にとって眩しい。
「朝ごはんだが、どうするか?ちなみに今日は超健康的な和食だが。」
健康的な和食でも不健康な和食でもどっちでもいい。それより寝ていたい。私の欲求一番は睡眠であるのだ。
「…曇りだからか寒いなぁ」
そういって家政夫は布団をはがしにかかる。必死に抵抗するがあっけなく布団を奪われてしまった。
仕方がなく朝ごはんのところに向かう。家政夫はやっと起きたかと呟いて私のあとについてくる。
テーブルに向かうと、本当に健康的な和食だった。私は座ったあと置いてあった納豆を手にとって箸でかき混ぜる。
まだ大統領とSPは居ないようだ。
「あの二人はまだ来ないの?」
私は箸で納豆をかき混ぜながら家政夫に聞く。
「SPは他の依頼者に頼まれて出張している。まぁ、午前中には帰ってくる予定らしいけども。大統領は夜中に作業していて、やっと寝たって感じだからそっとしておいている。」
そういった後家政夫は味噌汁をすする。
また昼夜逆転生活してるのか…と心配しながらご飯に手をつける。納豆は後から入れる予定だ。
魚をほぐそうとしようとした時、家政夫は口を開いた。
「そういえばお願いしたいことがあるんだが。」
私は魚から視線を外さずに「何?」と聞いた。
「どうしても外せない用事ができて、明日から三日間休ませて欲しいんだけど…。」
目を見開いた。何故かというと今まで彼は風邪をひいても、友達からの誘いがあっても、どんなことがあってもここに来ていたのだから。
「いや、別にいいけど…。珍しいね。休ませてっていってくるなんて。」
私は目を合わせながら言うと
「あ、あぁ。実は家族が病気で倒れてしまって…。だから世話しないといけないから三日間だけ休ませてもらいたいんだ。」
ふーん。と私は相づちをうった。
「三日間だけでいいの?なんなら安定するまで休んでてもいいけど…。」
「いやいやいや、大丈夫。大丈夫です!」
彼は手をブンブンと横にふる。
そんなにいうことなのかと疑問を抱きながら魚に目を戻し、ほぐしを再開する。
「まぁ、ずっと働いてもらってるし、申し訳ないからね。仕方がないことだし。家事は私がやるから安心して行ってきなよ。」
と呟くと
家政夫は「ありがとうございます!」といってお茶を一口飲んだ。
私たちが朝ごはんを食べ終わった後にSPが帰ってきた。
家政夫は茶碗を洗いに奥にいっている。
「思った以上に帰りが早かったね。」
私がそういうと
「ただ守るだけだったからね。」
とあくびをしながらソファーに転がった。
「そういえば家政夫が明日から三日間休むらしいよ。」
とパソコンを用意しながら報告した。
「マジでかよ珍しい。今日曇ってて雨降りそうだけど、もしかしたら雪が降るんじゃねえか?」
「SPは家政夫をなんだと思ってるの…。」
私は仕事を処理しながら話を続ける。
「何か家族が病気で倒れたらしいよ。詳細は知らないけど。」
私はエンターキーを押す。
SPはソファーでだらけてた体を持ち上げて
「え?ちょっと待って。」
と疑問を浮かべた顔で言った。
「どうしたの?」
パソコンから顔を外してうかがう。
「あいつから聞いた話だと、両親離婚して別居してるはずだぜ?それに、一人暮らし始めた後に両親二人とも連絡つかねえって聞いたことあるし。」
「…。」
私は呆然する。
「嘘つかれてるんじゃねえか?」
あんぐりと口が開いた。
とはいっても許可を出してしまった以上問い詰めてはいけない。けど彼は嘘をつくタイプではないはずだ。いったいどうしてしまったのか。
「面白いことになってきそうだな…。」
SPはわざわざ顎に手を添えて呟く。
そして、手を叩いて彼は言った。
「決まりだ。明日から三日間家政夫をスパイしに行く。もちろん、お前もついてくるんだ。もちろん大統領もな。」
「は?」
頭がおかしいのではないのか。いや、元々大統領をひそかにストーカーしているから元々頭がおかしいと思うのだが。
「大統領を一人にさせるわけにもいかねぇし、昼夜逆転生活が改善するかもしれねぇだろ?」
いや、それ以上に大統領が危険な目に合うかもしれないのではないのか。一応頭がいいのだろう?目を覚ませSP。
「なにも反対意見はないな?よし決定!決定だな!」
…彼に押されてしまい、強制的に決定されてしまった。
まぁ、家政夫のことだし、そうそう危ない目には合わないだろうと思い、なにも考えないことにした。
しかし、それは甘い考えだったかもしれない。
彼、家政夫の予想外の正体。そして、この国で何が起こってるのかが分かることになるとは、思いもしなかったのである。
続
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