PPPPP 3話

「さてどうする?」
早朝にSPと向かう。本当はこんな清々しい朝に見たくはないのだが、こんな緊急事態が起こったのだから仕方がないのである。
家政夫が辞表届をだした。
「絶対昨日の出来事が原因だよな」
SPが机に置かれた封筒を見ながらいう。
私もそう思う。しかし、辞表届を出された今。戻ってこない限り本当に辞めることになる。辞めるのは人の自由だから無理にとめるわけにはいかないのだ。
「でも本当に辞めるとしたら大統領ちゃんにどうやって説明すればいい?」
確かに。あと二日間は休みをとっているということになるので何とか説明はつく。しかし、辞めたと知ったとしたら彼女はとても悲しんでしまうだろう。彼女は本当に私たちのことを愛しているのだから。
「…秘書。確かに辞めるのは自由だからこのままほうっておいてもいい気がする。しかし…何かひっかかる。まあ…これは俺のなんの根拠もない野生の勘なんだが」
「まさか…会いに行く気?」
私は聞いてみる。
「まあ…部屋は近いんだし」
確かにSPと家政夫はこの仕事場から近い、同じマンションのお隣同士だ。しかし、もう辞表届をだしている。同じ仕事の仲間から離れるために、家から出ていってる可能性が高いだろう。
「そうか…秘書。思ったんだけど、家政夫が前にいた会社ってどこなんだ?」
「は?」
いきなり聞かれたので思わず声を漏らす。
「あのねSP…。ここは本当の名前を言い合わないプライバシーを厳重するところ。前の職場をいえるはずないでしょ」
「そうかぁ?まあ秘書がだめというなら俺がしらべるだけだが…」
私は沈黙する。
本当は話してもいい。しかし、家政夫からは口止めされているのだ。
前の職場の話はしないでくれと。彼らが狙われる可能性があるからと。
彼がそういっているのなら、彼のことを守るために、いや、彼らを守るために話してはいけないのだ。
「…秘書。その顔は何か隠してるんだな」
SPがため息をついて立ち上がる。
「お前が何もいえないというなら、まあいいよ。しばらく離れる。大統領ちゃんの言い訳は…まあ秘書が考えてくれ」
そういってSPはその場を去っていってしまった。 
SPは頭がよい。多分家政夫の職場をなんらかの方法で知ることになるだろう。
仕方がない。SPがしたいことだ。私は大統領ちゃんにいう言い訳を考えることにした。…いや。まず朝御飯作りからか。
…秘書は何か隠している。
しかし、家政夫が前の仕事は何していたのか知るすべが見当たらない。どうするべきだろうか。
方法は一つしかなかった。ここに応募したときの用紙を見つけること。そこには経歴が書かれているはずなので簡単に分かるはずだ。
なので秘書に見つからずに、その応募用紙を見つけることにした。
俺は家政夫を連れ戻したいわけではない。ただ家政夫が何かを内緒にしているのがなんかモヤモヤするだけである。あと大統領ちゃんを悲しませたくない。それだけの話だ。
…多分そうだろう。
…あ、しまった。御飯食べてから離れればよかった。仕方がないのであとでコンビニに出向くことにした。
また戻ってきてしまった。あの職場に。
前までは騙されて仕事をしていた。しかし、今度は自分を騙して仕事をしなければならない。
そうしないと、彼らが狙われてしまう。
こんなことになるなら、どこにも就かずに閉じ籠っていたほうがよかったのではないのか。俺はそうやってグルグル思考を回転させる。しかし、こんなことを考えているなら、別のことを考えるほうがましだと結論がでたので、今日の飯をどうするかを考えることに決めた。そうしたほうが気が楽だからだ。
しかし、皆を騙して辞めてしまったのはもうしわけない。特に大統領はとても悲しんでしまうだろう。しかし、まだ秘書とSPがいる。だから安心して生きていてほしい。あとあの大統領の姉ちゃんも飯を食べてほしい。秘書は大統領に美味しい飯を作ってほしい。SPはナルシストを直してほしい。たまに来るあの子供服カメラマンは…どこから指摘すればいいか分からないな。
とりあえず俺がいなくてもやっていけるだろう。
目から流れ出そうだったので、俺はあのでかいビルをみて、歩くことにしたのである。
とりあえず大統領ちゃんを納得させることはできた。
SPが資料室を漁っていたが、無視することにした。内緒にしてやっているだろうが、私が何者か分かっていないのでバレていることには気づかないであろう。
私は、それらを眺めることにした。
資料室を漁って出てきたのは家政夫の経歴書であった。
しかし、何故かは分からないが、名前だけ消されてあった。
だが前の仕事のことが知れたら別にいいので気にしないことにする。
「えー…字が思ったより綺麗だな…ではなくて、経歴は?」
ばれないようにと部屋の電気はけしてあるので見にくい。指で文章をたどってゆく。
最後の経歴、つまり前の就職先にたどり着き、読んだとたん俺は目を疑った。
「は…?」
そう、それは大統領よりも立場が上と噂される、あの会社だったからである。
しかもその会社はいろいろな悪い噂があり、皆から目の敵にされているのである。何故家政夫があの会社をやめてここに…?
とりあえず身元がついた。怖いもの知らずの俺はとりあえずそこに向かうことにした。
どうやらSPが家政夫の身元がついたらしい。
私はその資料室の前にいて隠れていた。
なんやかんや私は関わるつもりはない。ただ見守るだけだ。
それが私、秘書の役目だから。
「あのさ、あのでかいビルの噂知ってる?」
友達からいきなり質問される。
「いや…?」
僕は惚ける。まさか僕の姉が前あそこに勤めていたとは思いもしないだろうね。
姉の体が弱くなったのはあのビルのせいだ。あのビルの仲間のせいだ。だから僕は許せないのである。
さて、僕はカメラをもつ。今日もあの子の後をおい、フラッシュなしで写真をとるつもりだ。ドラム缶には気を付けないといけない。
カメラのセッティングが終わったので、僕はカメラを構える。そのとき目の前で遠くで、見たことのある影をみかけた。
「…家政夫?」
気になった僕はカメラをおろして、そっと後を追うことにしたのである。

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