PPPPP 2話 寂

ある晴天の昼下がり。
俺はとあるファミリーレストランで待ち合わせをしていた。
決して待ち合わせをしているのは彼女でも友達でも何でもない。
ただの昔の仕事仲間だ。それだけの話。
しかし、その仕事仲間から連絡があり待ち合わせをしようと約束をされた。
これは嫌な予感がする。念のため三日間の休みをもらった。その方が怪しまれないからだ。時間が余ったらその時休めばいいだろう。
SPが秘書に耳打ちしてるかもしれないが、多分許可を出した以上、秘書は許してくれるだろう。
待ち合わせの時間三十分前に着いてしまったので先にコーヒーでも頼むことにする。
いつも自分でいれているので新鮮な気持ちである。
待ち合わせ時間までまだまだ先は長い。
俺は心の準備を整えながら、注文するつもりがないメニュー表を眺めることにした。


「ねえ家政夫はどこにいったの?」
大統領は私に聞く。
そんな事私だって知らない。ただ家政夫は嘘をついてまで休みたかったと思いたいのである。
ここはとある町中。私たちSP、大統領、秘書は家政夫を捜索していた。
追跡をしようという予定だったがSPが逃してしまい、どこにいるか分からない状態である。どうしようもない。
SPは沢山の人に聞き込みをしている。しかし私はそんなのは無駄だと感じる。確かにここは狭い国だが、人口が多い。人に溢れているこの昼下がりに、特徴が全くない家政夫を探しだそうとすること自体無茶なのである。
大統領はさっきまで乗り気だったが飽きてきたらしく、あちこちにうろうろしてしまっている。たまに話しかけてくれるので嬉しいのだが。
「本当にどこいったんだろうな。」
SPが腕を組みながらこちらへと戻ってきた。
「SPが逃すのがいけないわ…。」と呟くと「うるせえ。」と返ってきた。確かに余計な一言だった。
「畜生。今日中に見つけられなかったらお土産ねだってやるからな。」
SPがそういう。いや、こいつは子供か。
「ねえ秘書さん。お腹すいたー。」
大統領が近寄ってくる。仕方ないなあと歩み寄る。SPも近づくが、大統領はSPを完全無視した。いつも大統領のストーカーをしているからそうなる。私は鼻で笑う。
「じゃあそこにあるファミリーレストランに行きますか。」
私はそういうと、
「見た感じ混んでそうだから隣のカフェ入ろうぜ。いつも秘書にはお世話になってるから、今日俺が奢るから。」
とSPがいいだした。
奢る。そのワードを耳にしてしまったので私は了承した。大統領も喜んでいる。
ということで、私たちはファミリーレストランの近くにあったカフェに入ることにした。


待ち合わせ時間丁度。前の仕事仲間がきた。
その仕事仲間とは女性。金髪で片側だけ団子結びにして肌を結構露出したワンピースを着ている。
俺はそういう趣味ではないので気にしないのだが、SPが見たら興奮して話しかけてくるだろう。
「久しぶりね。雰囲気はすごく変わったけど元気そうで何より。」
にこやかに話しかけてくる。大半の人はその笑顔にひかれるだろうが、俺は恐ろしく感じる。彼女の恐ろしさを知ってる人はごくわずかしかいないだろう。
淡々とその彼女は話を続けた。
どうやら彼女は、俺へ元の仕事に戻ってきてほしいらしい。俺の技術が、今進めているプロジェクトに必要らしいのだ。
冗談じゃない。昔俺が持っていた技術を使うプロジェクトなんて、ろくなのではないに決まっている。
昔持っていた技術。それはネットでハッキングをすることだった。
前関わっていたプロジェクトだって最終的には成功という名の失敗に終わった。ただ人を傷つけるだけのものとして終わってしまったのだ。
だからその技術は捨てた。そして俺は断った。俺がどのような目にあってもいいからそのプロジェクトはやりたくないと。
前に勤めていた会社は、下手したら大統領の立場より上になってしまう。だから俺が何かの目にあってしまうことは一目瞭然だった。
しかしそんなに彼女を説得することは甘くなかった。
だから、俺はそのプロジェクトに参加することを了承した。
彼らを守るためには仕方のないことだったのかもしれなかったから。である。


「美味しかったな、また来たい!」
大統領は満足そうにお腹をさすっていた。
確かにこのカフェのスパゲッティは美味しかった。また家政夫にそれに近いスパゲッティを作って貰おうと思う。
「あれ?家政夫?」
SPが指を指した方向に、歩いている家政夫がいた。
「やっほー!!家政夫!!」
大統領が走っていった、家政夫は何やら気まずそうである。
「何でそんなところにいるんですか…。」
家政夫がそういい、目を伏せる。
「いや、偶然だなあ。偶然にもあったんだなあ。」
SPが目を逸らせていうもので
「いや嘘だろ。」
と家政夫に私たちが追跡していたことがばれ、怒られてしまった。
私は一息つき、
「家政夫」
と話しかけた。
「次からは正直にいって休みなさいな。」
そういったら、すみません…と申し訳なさそうに返事をした。
「さて!一緒に帰ろう!」
大統領が笑顔で家政夫に話しかける。
おう。と彼は呟いたあと一緒に歩き始める。
ふと家政夫の顔をみたら、何か寂しげな表情をしていた。
だが私は気にせず、また正面を向き歩き続けた。


しかし翌日。
辞表届
と家政夫の字で書かれた封筒が、机の上に置いてあったのである。

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